話し方研究所所長である櫻井弘さんの著書『すぐできる!わかりやすい説明の仕方』を読んでみました。
この本を読めば、相手を動かす力(説明力・説得力)が向上するでしょう。
近頃は「ロジカルシンキング」が最重要視されているなか、「相手の自尊感情を守ること」の大切さを説いています。「論理」だけでなく「感情」にも焦点を当てた良書です。
・自分が話すと、周りの人に飽きられている気がする
・伝えたいことがあるのに、上手く説明できない
上記に当てはまる人におすすめです。シンプルで分かりやすい本なので、2時間もあれば読み終わると思います。
以下では、感想を交えながら、私が気になった箇所・フレーズをまとめています。
日本人は説明が苦手
本書では、日本人のコミュニケーションの仕方の特徴の1つとして、「阿吽の呼吸」という言葉が使われています。
「言わなくても分かるだろう」ということですね。
日本で培われてきた「察しの文化」は、素晴らしいものであると同時に、説明を苦手にさせる危険性を備えています。
これは、日本人の良さともいえますが、ビジネスではマイナスに働くこともあります。察しの文化に慣れていると、「いちいち言葉に出して伝えなくてもわかってくれるはず」と、「説明」に対して、つい無頓着になりがちです。
つまり、ほとんどの日本人は、「説明する」という文化に慣れていないのです。そのために、多くの日本人は「説明が苦手」と自覚しているようですし、実際にそういう傾向にあります。
『すぐできる! わかりやすい説明の仕方』:P16より
パッと思いつくのが、会社内での電話対応でしょうか。
上司から部下への仕事の指示、部下から上司への仕事報告なども分かりやすいですね。
「これは説明する必要がないだろう」と思いながらコミュニケーションを取ってしまうと、「えっ?」と後から問題が生じる可能性が高まります。
私が以前勤めていた会社の上司が、まさに「説明が苦手」な人でした。
「これ、やっといて」「いい感じに仕上げといて」
これってどれ?いい感じってどんな感じ?という疑問が生じるので、何度も詳細な指示を仰ぐのが習慣化していました。
私も説明が上手いわけではありませんが、せめてビジネス上では、「具体的に」を心掛けたいものですね。
「読み上げるだけ」は説明ではない
「資料を読み上げるだけの説明は、説明ではない」
これは、私が小学生の頃に教わったことです。
以来、資料を見て読み上げるような説明はしないよう、心掛けてきました。
資料を読み上げるだけなら、説明は必要ありません。
資料を読み上げる行為は、自分の世界に入り込んでしまう行為です。
自分勝手な説明では、「相手に理解してもらう」という目的を達成することはできませんね。
自分の資料を見て、読んでいる方が落ち着くかもしれません。しかし、そこからは、自分と違う「相手」に理解してもらおうという気持ちは伝わってきません。資料を見て話すのは、言い換えれば「自分自身と対面」しているのと同じです。あらかじめ準備した文章を読み上げるような話し方は、相手の「理解度」や「経験」を無視しているため、わかってもらうことはできないでしょう。それどころか、「早く済ませたい」「失敗しないように話さなければ」という自分勝手な気持ちが伝わるのではないでしょうか。
『すぐできる! わかりやすい説明の仕方』:P21より
書かれている通りですね。
資料を読むだけでは、気持ちや想いは伝わりません。
実際に、そのような「読み上げ説明」を受けることも多いです。
その場合、私は、資料だけ先に読んで、頭の中で整理して、後は他の考え事をしています。
説明自体を聞く必要がないからです。
伝わる表現の3原則
本書では、表現力の大切さを学ぶことができます。
そのまとめとして、「伝わる表現の3原則」が紹介されています。
②簡潔に
③印象深く
当たり前のようで、案外難しいことですね。
特に「①わかりやすく」では、相手の理解度に応じた表現の重要性が説かれています。
たとえば、インターネットを初めて利用する人に、回線の通信速度を説明するとき、
「ADSL回線は最大50Mbpsですが、光回線は最大100Mbpsです。」
と話すと、「Mbps」という単位がわからず、引っかかってしまうかもしれません。
ここで、最も伝えたいことが「光回線はADSL回線よりも早い」ということだとしたら、細かい数字を使わずに、
「光回線は、ADSL回線の約2倍のスピードです。」
とシンプルに伝えた方がわかりやすくなるでしょう。
『すぐできる! わかりやすい説明の仕方』:P119より
相手の理解度や経験に応じて表現を変えることで、伝わりやすくなるわけです。
老人に話すのか、子どもに話すのか、しっかりと確認した上で、良い説明をしましょう。
この他にも、様々なテクニックが紹介されています。
以上です。
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